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驚異物語 (黒沼 健)



驚異物語 黒沼 健  新潮社 1958年(昭和33年)8月15日発行


黒沼 健の異色ノンフィクション読み物シリーズ の一冊である本書には21編の物語がおさめられている。

以下のとおりである。

南海に沈む大陸  5
地球爆発  15
インカの碧玉  27
死の日記  37
「マリーセレスト」第二の悲劇  48
狂男爵フェラリ  61
カルカッタの敗北  66
ニュールンベルグの孤児  85
幽霊を売る男  93
切り裂き・ジャック秘譚 101
ヨーロッパの謎 109
殺人鬼の爪痕 121
新・残酷物語 135
空飛ぶ円盤人種 142
地球は狙われている 161
円盤を狙撃した話 168
九呎ずん胴の巨怪 173
化物蔓と食肉蝶 181
世界で一番強い酒 189
山上の海戦 194
木乃伊の手 204


数字はページ数を示す。


「木乃伊の手」
ー地上最大の預言者といったら、何をおいてもミシェル・ド・ノストラデムス(ママ)をあげなくてはなるまい」
ではじまるこの掌篇は
「と、ハモンは力強く首を振った。彼を過去、現在、未来にわたり、世界のすみずみに起こった現象に結びつけたものは、実にマカターテン王女の、、、」
で終わる。

黒沼健の掌篇シリーズの常套手段である一見関係ないふたつの話題を提示してどちらかをきわだたせる、あるいは関連がある部分を読者に想起させる、二段論法みたいな構成がここでも展開されているのだ。
だいたい、ノストラダムスではじまれば、ふつうその予言者の話で結論がでるだろうと予想するが、いつのまにかストーリーは別の方向にとんでいる、という構成だ。

このノストラダムス、黒沼健はかなり気に入っているーー「謎と怪奇物語」前々回紹介した本ではやはりノストラダムスがとりあげられ、「七十世紀の大予言」ーおどろくべき的中を示した占星術師の話 という副題で詳細に語られているのだ。だが、内容はけっして重複しない、これが彼の主義・やり方なのだ(律儀としか言いようがない)。
2段弁当構造ーーかれのこの怪奇読み物シリーズがたいくつなのに投げ出したくもない、という不思議な短さとあいまって、単調なノンフィクションを飽かず読ませる秘訣なのである。
(これ以外にも黒沼は別の巻でノストラダムスを繰り返し紹介しているーーほんとに好きなんですね)

さて中身を拝見すると

主人公ルイ・ハモンは20世紀のイギリスに現れた予言者である。
地震のまえになまずがあばれる、ハモンにあってはこのような予知力が「時間と空間の障碍を駆け抜けて、未来の世界へ一気に飛び込んでしまうのだ」
マーク・トウェイン、エドワード7世、ロシア皇帝ニコラス2世、タイタニック号、ラスプーチン、、マタ・ハリ、などすべてその死期を予言し言い当ててしまうのである。

こういうかれの霊能力の秘密は最後にあかされる。
エジプトのツタンカーメン王の義妹にあたる「マカターテン王女の木乃伊の手を常住坐臥身辺から離さなかった」彼女の霊に守られていたのだ。(筆者)

ラストシーンは冒頭のとおりである。だが、謎は残るーーいつものように。
それはつまり、なぜなぜ問答である。こんな木乃伊の手とかれの超能力・未来の透視能力がどのように関係しているのか、霊能力は木乃伊を信ずれば得られるのか、いや、そもそもルイ・ハモンの超能力の力の源泉が木乃伊の手なのかどうか、、、黒沼健は例によって沈黙したままふくみ笑いの横顔で去っていくのだ。



「驚異物語」黒沼 健   完了

(ほかの20篇は今回省略しました)

秘境物語 (黒沼 健)



秘境物語 黒沼 健  新潮社 1957年(昭和32年)4月30日 発行


黒沼健の怪奇読み物シリーズは1957年に刊行が開始され、この秘境物語がその第一集である。
それではさっそく目次をのぞいてみると、

17篇の怪奇読み物がならんでいる。以下のとおりである。


シェンシの金字塔  5
大西洋の船の墓場 16
眠れる宝庫  30
マヤの大隧道  42
赤い木乃伊の秘密  56
ミスラムの毒蛇群  66
猛暑に消えた部落 78
最後の石器時代人 89
ルプクンドの巨人 101
百人の黒い花嫁 112
謎の宝島・ココス 120
古生代の海蛇は生きている!? 129
プーナの魔術師部落  140
ティヨーパの魔の山  153
「空飛ぶ円盤」の化石? 167
人間の首の乾物  172
ファラオの呪い  184

数字はページ数を示す。


「大西洋の船の墓場」
全島ロードストーン(天然磁石)からできている島、セーブルアイランドにまつわるお話し。要するに大西洋の墓場と呼ばれている長さ20マイルほどの小さな島に不時着した爆撃機パイロット、アル・アーリイ中尉の話し。秘境感はそれほどないので、読んだらすごいよ、ということでもない。
というか、このシリーズの特徴はそっけないほどのノンフィクション文体とさりげない描写などから推察されるように、感激とか高揚感とかを目指していないのである。

「マヤの大隧道」
幻想と怪奇の作家アンブローズ・ビアスが忽然と消えた場所にまつわる話である。(前回ブログで紹介した「雲散霧消した話」の詳細版ーだが、同じ構成ではない)
ーービアスは1913年の秋、71歳の老躯をひっさげ「わたしは生きていることが恥ずかしいほど老いこんだ。余生はメキシコで過ごしたい」という言葉をあとにメキシコに出発したまま二度とアメリカへは帰らなかった。つまり反乱軍パンチョー・ヴィラの幕下に参加して戦っていたのである。かれはその戦いの最中に洞窟へ入っていったまま消えてしまったのだ。
探検家ヴァルデがトーニアからパレンケに通ずるマヤの大隧道を探してユカタン半島をさまよう挿話。
かれがここに来たのは「チャパス及びユーカタン旅行記」をあらわしたスティーブンスに関心をもったからだ。
マヤの後裔ラカンドネスに導かれ、150マイルにも及ぶマヤの大隧道を探す旅。
黒沼はヴァルデを紹介することにより、ビアスのために別の北部大隧道を空想したのであるーービアスは大隧道に迷い込んだのだと。
かれはメキシコにいくつものマヤの長大な大隧道があることをビアスと共に夢見ていたのかもしれない。
これは黒沼の怪奇な空想、ともとれるが、アンブローズ・ビアスへのオマージュなのかもしれない。


「赤い木乃伊の秘密」
ー死しても尚、脈々と生色を保つレーニン、スターリンの謎ー
という紹介文でもわかるように、エジプトミイラの保存法をレーニンとスターリンに応用した話なのである。
ゴーティエの「ミイラ物語」にあるメムノニアはミイラ職人の集団部落で、「死者の家」はかれらがたむろしていた家のことである。
特別な技術を応用されたレーニンとスターリンのミイラは、肉の弾力、皮膚の肌理などが自然のままの色合いで保存されていたのだーーレーニン廟とスターリン廟のなかで。
ところが、実際は、永久保存を目的としたミイラ化を達成するため、および生前の面影をそのまま維持するため、エジプトの保存技術ではなく、人工循環装置により血管にカリ、グリセリンを主薬とした混合液が流されていたというのだ。それも、顔と手のみ残されたミイラなのである。廟にあるミイラがほんものかどうかというのが議論のまとになっている。
そういう怪奇ものがたりなのだ。


「最後の石器時代人」
ーニューギニアの奥地に横たわる人食いの理想郷ー
この話のはじめに、まずアメリカのカリフォルニア州オーロビルという町にあらわれた石器時代人ヤヒが紹介される。遠い昔に滅んだとされる石器時代人が1911年のアメリカに現れたというのだ。かれは5年ほど生存したが結核で死んでしまい、最後の石器時代人とみなされていた。
だが、ここから秘境物語ははじまる。ジェームズ・ヒルトンの「失われた地平線」に描かれたシャングリ・ラをさがす物語である。だが、場所はチベットではなくパプア島であった。そこに金山があるというのだ。ギップス航空会社のパイロットコーリン・シドニイはこの探索行のときジャングルの奥地に不時着してしまう。すぐに人食い人種に囲まれる。だが、塩のかたまりをあたえることで、かれは賓客としてむかえられるのだ。
この人食い人種こそが、石器時代人というわけである。
かれらの生活には銅器もなければ鉄器もなく、石、動物の骨、角、木、竹が生活の材料であった。そして、腕の筋肉は将来の勇壮な戦士を願う少年にあたえられ、女の乳房は部落の少女にあたえられた。
シドニー君はある日、酋長から自分の鼻につきさしてあった石の棒を返礼品としてもらった。ジャック・ナイフのお礼というわけである。だが、その棒は自然金を多く含む石英でできていた。云々という一攫千金の秘境物語で、筆者は黒沼が石器時代という人類学的衒学を披露するわけでもなく、金鉱の話しでオチをつけるのはいかがなものか、と疑うところである。


「プーナの魔術師部落」
ー1000年間秘められた行者の幻術ー

ようするにインドの空中綱登りの術のことである。
この魔術は二とおりあるーーひとつは少年が綱をのぼっていき、姿が見えなくなると魔術師が綱をつよく引く。すると綱は地上に落ちてくるが少年は消えてしまうというもの。もうひとつは、少年を追って魔術師が綱をのぼっていき、バラバラ事件をひこおこして少年は血まみれの手足、胴体、などが落下してくる。魔術師はそれをくっつけ、呪文をとなえる。すると少年はもとの身体になり生き返る、というものである。
さて、奇術師をめざしていたアメリカ人のジョン・キールはインドに出向き、ボンベイ→ハイデラバード→マドラス→ベンガル→セイロン→ボンベイ とめぐりあるき、バラモンの行者をさがしまわる。だが、皆目わからないまま、かれは再びハイデラバードに行き、ホテルのボーイから偶然プーナの町にファキール(行者)がいたことを聞かされる。

ジョン・キールはついに最後のファキールに遭遇し、その秘術をまのあたりにするのである。
もっともその最後の空中綱登りを演じた行者はキールに魔術のネタを教えたわけではない。キールが推測したのである。
1 この魔術は絶対昼間には行われていない。薄暮かそれとも夜にかけてである。
2 場所は屋外であること
3 小道具として馬の尻尾の毛が必要である。(これはキールの推測の域をでないが)
インドの魔術は実在したと、キールの手記には記されている、という。

このお話はもうすこし魔術の核心に迫る物語であったのかもしれないが、黒沼健は常にはぐらかすような 軽妙といえばいえ、そんなことはサラリと水に流して真顔をたもつのである。(読者の空想力を待つのか)


「空飛ぶ円盤」の化石?
エジプトのケオプス王の墓所が偶然発見され、死の舟の実物がそこでみつかった。
死の舟は太陽の舟ともよばれており、太陽神崇拝のエジプト人は、太陽は舟に乗って空をわたると信じていた。そして人間は死ぬと舟に乗って太陽のおともをして永遠に空を翔ると考えていた。
墓所の回廊に意味不明の象形文字が描かれていた。
そしてその形が「空飛ぶ円盤」に似ていたのである。ある解読結果によると、空飛ぶ円盤がケオプス王をのせて空へ飛び立ったという。(死者を乗せたのか、生前のことなのか不明) この舟は映画「エジプト」(ファラオの国)でも描かれ、
「王はこの舟に乗って空をとぶ」と僧正がいうシーンもあるのだ。

アメリカのウォーレン・ジーグモントは英国のバローに興味をいだいていた。これは「塚」とよばれていたが、かれはそれ以外の意味をさがしていた。とくにノーマントン・ダウンのバローは空飛ぶ円盤を地面にふせた形をしている。
というか空飛ぶ円盤そのものといっていいほどなのだ。しかも、つくられたのはキリスト誕生をさかのぼる1000年前というのだから驚きであった。

それよりもジーグモンドをおどろかせたのは「ストーンヘンジ(アムズベリーにある直径100メートルの石の列)」である。
そして彼の追跡はヨークシャのウエスト・ライディングの岩石にきざまれた謎の模様やアイルランドのドルイディツクの重さ数百トンの岩石におよぶ。そもそもこの石はアメリカにしかみられないものなのである。
かれは浮揚と重力の秘密を空飛ぶ円盤に関連させて考える。
これはエジプト学者がいう「その日、空から突然火の玉が音もなくふってきた。火の玉は地上にちかづくと大きな輝く皿となった。その丸い皿は太陽よりも強いひかりをはなっていた」紀元前1500年頃の記録にあい通ずるものがある。

かれの空想はとどまるところを知らない。

ある記録によると(ここからは黒沼自身の空想か?) おおきな石の上にパピルスをおき、それを棒でたたくとその衝撃によって生じた震動波が石を空中に浮かび上がらせると書いてある。
この浮揚現象は西インド地方の伝説にもある。賢者は黄金の円盤をもっていて、それを振って音楽を流し、その力で賢者は空を飛ぶことができた。(引用文献は紹介なし)
この空中浮揚のノウハウが現代に継承されていないのはどうしたことか?

えー 結論として黒沼健があげるのは、「あるときこの原理に精通していた人間たちは、なにかの理由でこの地球上から去っていったのだ。バローやストーンヘンジにその記録を化石のように残してーー」というものである。

つまり、空飛ぶ円盤から原理を得た人間が、おなじように浮揚円盤?を作って地球から去っていったというのである。

だが、化石という表現はあまりに比喩的である。そしてここまで連想と空想をたくましくして「真相はこうだ」と読者に提示する黒沼健ははたして何者なのであろうか?

ネット時代の昨今、SNSで黒沼がこの本の語り口で怪奇事件の公表をしようものなら「炎上」したであろうか?

謎と怪奇物語 (黒沼 健)

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「謎と怪奇物語」黒沼 健  1957年(昭和32年)12月5日 新潮社発行



のびのびになっていた黒沼健のノンフィクションシリーズを再考してみよう。

目次をのぞいてみると、全19篇の題名がならんでいる。以下の通りである。

沈没船の灯火 5
ルールドの奇跡 18
聖ゲノベバ号の亡霊 31
世にも不思議な物語 44
七十世紀の大予言  63
雲散霧消した話 63
ラジャーの後宮 69
カナダの多毛巨人 86
マレーの有牙人 98
海南島の有尾人 109
鯨に呑まれた話 117
砂漠の青い死神 122
人間なめし皮譚 137
逞しき哉人間 143
女装の曲芸師 148
戦慄の殺人儀式 161
ラマ廟の怪人 172
人間調理書 185
ミイラ甦る 192

数字はページをあらわす。

概略、「ルールドの奇跡」は、ハドラーーマホメット教の賢者の魂を現代に呼び出す祭典で、グローブ誌の記者M・ケインの目撃談から始まる。ナイフを信者が腹に刺し、霊媒のシークが唾液をたらした手をあてて、無傷のままナイフを引き抜く、というものである。

「世にも不思議な物語」 米国人ファイカー君が東洋人から永遠の命をさずかり、心臓麻痺で埋葬されるが、妻の願いで棺にしかけをしておかれ、生きたまま葬られたファイカー君が妻に連絡して墓から甦るという不思議な物語だが、あまりにも簡潔なため、びっくりしてしまうほどだ。

「七十世紀の大予言」ーおどろくべき的中を示した占星術師の話
これは賢明な読者諸氏にはお見通しのことであろう。そう、例のノストラダムスの話で、黒沼健が日本初紹介の栄誉を担う、といわれているものである。
曰く 「1947年(昭和22年)日ソ間の雲行険悪になり、ついに戦争がおこる」
1999年 「この年、恐るべき王が空から舞い降りてくる」 この空からの侵入者によりフランスは3月から10月までのあいだに全土は完全に荒涼ばくばくたる地と変わり果てるのである。(黒沼健は空からの侵入者を地球外の遊星から来た、と解釈している)
この章は挿入秘図もあり、かなり楽しめるものである。

「雲散霧消した話」
この話では、H・P・ラヴクラフトやアンブローズ・ビアースらが消え失せた話を紹介している。

「人間なめし皮譚」
ーあれは、死んだ夫の背中の皮膚です とその婦人は顔色一つ変えないで言った。
それはエジプトの奇書「死人の書」のラテン訳本であった。


「逞しきかな人間」
ー生きる、生きる、限りなく生きる 人間の力
水だけで30日間は生きていける、、、クロード・バクスター君は水だけで84日間も生きていた。

「人間調理書」
ーそれは、ナ・ウリヴァウがたどたどしい英語で書きつづった一巻の「人間調理書」であった。
「脳は、、、
「舌は、、、
「肉は甘いから、、、
「まず湯で煮る、、、

パウロは、この先はどうにもよむことができなくて、調理書を閉じたといっている。

ずいぶん直裁な紹介の仕方にびっくりするが、これはノンフィクションなのだから、恐怖とかおそれとかを黙示録的にほのめかす必要もないのである。
すべて率直で誇張粉飾があまり感じられない物語といえないだろうか?


「謎と怪奇物語」完

三つの石で地球がわかる ①

佐々木晶国立天文台教授は、「小惑星イトカワの岩塊の間に何らかの結合力が生まれている」と小惑星科学の今後のなかで解説しているーーこれは逆に言えば岩塊が宇宙空間でどのように結合し大きくなっていくか解明されていない、ということを意味している


というような疑問をツイッターに書いてから何ヵ月かが過ぎた。

つまり、惑星や小惑星の形成過程が、


「塵はすばやく微惑星になるか、乱流の渦などの淀みにはまって成長するなどしなければなりません。しかし、

そのあたりは

まだ十分に解明されていません」井田茂・中本泰史

つまり解明されていない。


これはいったいどうしたことだろう。
惑星は塵から微惑星、そして500kmをこえる大きさに合体してやがて惑星になる、と、ずっと言われ続けているではないか!

 「十分に解明されていません」←十分ではないが、ある程度は解明されているのか? ならば、どの程度まで?  イトカワのなかでなんらかの結合力が生まれている←(なんらかの結合力とは?)


小惑星形成理論が十分でない状況のなか、はやぶさ2はリュウグウへと導かれ、先日その上空20kmの軌道まで到達した。



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三つの石で地球がわかる 2017年5月20日 講談社より発行 藤岡換太郎著


りゅうぐうの探査で小惑星形成のなぞが解明されるとは思えない。
仕方なく自分で石とはなにかを調べてみようと思いついたのである。

よく考えてみたら、なぜ石はかたく結合しているのか? わからない。 地球上の石ですらわからないのだから、宇宙の石などわかるはずもないーー。

だが、

「三つの石で地球がわかる」の著者は、こういう。 「しかし、橄欖岩がいつ、どのようにしてできたのかは、私の知るかぎりまだ誰も書物には書いていません。いまだになぞと言っていいのです。 いったい、この石は地球上でできたのか、それとも地球ができる前から宇宙に存在していたのか、いわば序章で述べた「鶏が先か、卵が先か」がわからないのです。

「にもかかわらず
「この問題について考察されたものを少なくとも私は読んだことがありません」

実はこの書物の第6章に隕石に関する記述があるのだが、この知見に批判的な見方もあるようだ。
だが、とにかく橄欖石がどこで最初にできたのか、断言している書物はないということだ。

さて、

小惑星の多くは、石質隕石でできていて、コンドライト主体でできている。

宇宙の塵の成分は橄欖岩の構成成分である。つまりコンドリュール=ケイ酸塩鉱物などである。

あとは鉄とニッケルであろう。超新星爆発に伴うものといえばアミノ酸とかペプチドも構成要素として注目される。


さて、ケイ酸塩が宇宙でくっつく理由はなんだろう?
そもそもケイ酸塩とは4個の酸素原子と1個のケイ素原子が結びついた単位胞である。
つまり、ケイ酸塩は学校で習った共有結合でくっつくのであるが、その後も酸素の最外殻電子は充足していないため安定はしないーー安定するためにはどうするか? 
宇宙空間の塵には鉄もマグネシウムも存在している。

橄欖石という鉱物として宇宙に漂うためには、ケイ酸塩単位胞が鉄やマグネシウムとイオン結合する必要があるのだ。

そして46億年前からケイ酸塩はイオン結合で鉄やマグネシウムとくっついてかんらん石となっていたのだ。これが基本であろう。





だが、考えてみてもいくら頭をひねっても
このイオン結合と共有結合で 石ころと石ころがくっつく理由がわからない。

道にころがっている花崗岩の小石を2個、がりがりやってもくっつかない。
微粒子ならくっつが、手のひらにのった小石は共有結合もイオン結合もしないのである。


だから

「小惑星イトカワの岩塊の間に何らかの結合力が生まれている」

という以外に言いようがないわけなのだろう。


いったい、小石と小石をくっつけている力 そもそも惑星のもととなった微惑星のもとの2cmとか10cm径の石をくっつけた力とはなんなのか?

道にころがっている小石を近づけて引力で結合させようとしてもむだである。
地球の引力が影響するかもしれない。


そうか
引力の問題は地球上の実験では再現できないのだ。


つぎのような事例もあるー



figure_sプロペラ構造


土星の環は、1cmから10m程度の大きさの莫大な数の氷粒子でできていると考えられています。土星探査機カッシーニ3による高精細な観測が行われて、土星の環には、縞模様だけでなく多様な構造が存在することが明らかとなってきました。特に最近、プロペラとよばれる構造が注目されています。2006年にカッシーニによって発見されました(図1、図2参照)。プロペラ構造は、対称な長いしずくのような二つの模様からなる構造です。この形が飛行機やヘリコプターのプロペラを連想させることからプロペラ構造と名付けられました。典型的には数100メートルから数キロメートル程度の非常に小さな構造です。

このプロペラ構造の形成機構の解明に向けて、多くの研究が進められています。現在最も有力な説は、環の中に埋もれた小衛星4によって作られるという説です。





figure2_sプロペラ画像



【2011年4月28日 国立天文台】

2006年に発見された、土星の環の中の小さなプロペラ状構造。環の中に埋もれた小衛星の重力によるものと考えられているこの構造の成り立ちについて、国立天文台の研究チームが大規模シミュレーションによって世界で初めて明らかにした。


研究チームでは、今後さらにシミュレーションを進めて、プロペラ構造の形や大きさと周囲の環の性質との関係を詳細に調べていくことを計画している。将来は惑星の環の起源についての研究も行いたいとのことだ。さらに、今回の検証内容は多数の微惑星(太陽系初期に存在した微小天体)から惑星が形成されていく過程とも共通していることから、惑星の環の研究を通じた惑星形成理論の検証にも発展させたいということである。




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土星リングの力学(II. プロペラ構造)

動画・2017年9月12日


プロペラ構造の正体

映像の後半では、プロペラ構造の近くに迫ります。土星リングに埋もれた小さな衛星の重力によって、周囲の氷粒子が衛星に引き寄せられ、その表面に降り積もります。表面に降り積もらない氷も、衛星の重力によって動きが乱されます。その影響で衛星の前後に伸びるしずく型の穴ができるのです。このようにしてプロペラ構造が作られると考えられています。観測されているプロペラ構造の典型的な大きさは、数100メートルから数キロメートルになります。
道越秀吾、小久保英一郎、武田隆顕、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト




ーーこのプロペラ構造の研究が石ころと石ころをくっつけた力の解明につながるのであろうか?
宇宙空間では引力によって石ころと石ころがくっつくのであろうか?


ネットにはさまざまな惑星形成の知見がばらまかれている。
だが、実験ではなくコンピューター上のプログラムである、信頼性という点に関してはいまいちである。

書物なら信頼できるのかという問題になるけれど、そもそも小惑星や惑星形成、そして隕石などの宇宙の岩石に関する研究書籍はなかなか見つからない。


21世紀の現在、微惑星は存在しないが、小惑星は存在する。そして塵もガスも太陽系内や系外に残っているはずである。そこでは4mmの小石どうしがくっついて集積してよりおおきな小石に成長しているのであろうか?

この議論は現在の地球上で生命が誕生する現場を見ることはできないのか?

という問いと同じ範疇に属するのかもしれない。


 

ブラック・ホールにのまれて


2017年5月に出版した拙書「ブラック・ホールにのまれて」 が好評につき、継続販売するはこびとなりました。






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「ブラック・ホールにのまれて」 牧歌舎 2017年5月10日 定価(本体1300円+消費税)



アマゾン、紀伊國屋書店ウエブストア、などネット書店で購入できます。 SF雑誌全盛期の時代、さまざまな話題を提供した奇想天外誌、そこに掲載された短編をえりすぐって編集した短編集です。

どうぞご賞味ください。




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